スポーツあれこれ by 星野恭子

「車いすラグビーのワールドチャレンジ2019」の第2日(10月17日)、日本対フランス戦の試合前セレモニーの様子。平日午前中ということで、小中高生の姿も目立った観客席。最終的に開催5日間で、観客数はのべ35,700名を数えた

オリ・パラ「一体化」、じわじわと進行中!
<9月度まとめ>

※写真上:「車いすラグビーのワールドチャレンジ2019」の第2日(10月17日)、日本対フランス戦の試合前セレモニーの様子。平日午前中ということで、小中高生の姿も目立った観客席。最終的に開催5日間で、観客数はのべ35,700名を数えた

オリンピックとパラリンピックはそれぞれ異なる国際組織(*)が主催する「別々の大会」です。でも、いわゆる「大会組織委員会」は2008年の北京夏季大会から統一され、スタッフ体制やボランティアプログラムなどで「一体化運営」が進められるようになりました。来年に迫った東京2020大会は組織委統一以来、夏冬合わせて7回目。その浸透度や充実度も注目されます。

実際、東京2020大会での一体化の意識は過去大会に比べて高いように感じています。例えば、大会全体に関わる話題の場合、大会名称は「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」という”フルネーム”がしっかり使われています。

もう一つ、過去大会と大きく異なる例を挙げると、「開会式・閉会式の演出」です。制作体制は野村萬斎さんをチーフ・エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクターに、多彩なメンバ―が両大会兼任で任命されています。オリ・パラでそれぞれ開会式・閉会式が行われますが、すでに発表済みの基本コンセプトには、「4つの式典を一連の四部作と捉え、起承転結となるようメリハリをつけて構成する」と明記されています。

いったいどんな「4部作」が描かるのでしょう?「オリンピックは終わるけれど、次はパラリンピックですよ~」と連続する式典。そんな演出は過去には一度もありません。今からとても楽しみですし、絶対に実現してほしいと願っています。

「一体化」とまではいかなくても、大会PRなどのイベントでオリンピアンとパラリンピアンが同席したり、相互交流のエピソードが紹介されたりする「連携」も増えています。また、大会開催でも、例えば、陸上競技の日本選手権では数年前からパラ陸上の数種目が実施されるようになったり、男子プロテニスの「楽天ジャパンオープン」には今年から車いすの部が追加されました。

記憶に新しいところでは、ラグビーワールドカップ開催中に並行して車いすラグビーの「ワールドチャレンジ」が開かれました。世界の強豪8チームが顔を揃えた「もうひとつのラグビー国際大会」は5日間でのべ35,700名の観客を集める人気ぶり。客席にラグビーW杯のものだと思われる代表ジャージをまとった海外のラグビーファンの姿が見られた日もありました。

テニスや自転車、トライアスロンなど国際統括団体(IF)がパラ部門も管轄する競技では以前から、「オリ・パラ併催」の大会もありましたが、先月行われたバドミントンの世界選手権(スイス)でも初めてパラバドミントンの世界選手権も併催されました。

他にも、バスケットボール専門誌に車いすバスケットボールの記事が、あるいはサッカー専門誌にブラインドサッカーの記事が掲載されるといった例も増えています。

海外でもこうした傾向は見られます。例えば、アメリカでは今年6月、オリンピック委員会とパラリンピック委員会が「一体化」され、米国オリンピック・パラリンピック委員会となりました。また、つい先日、2024年のパリ大会のエンブレムはオリンピックとパラリンピックでまったく同じデザインが使われることが発表されました。

単純に「一緒にやればいい」「一緒になればいい」と言いたいわけではありませんが、これまではなかった交流が進み、相互理解や交流が進むことはパラスポーツを普及させますし、スポーツ全体の発展にもつながるはずです。こうした一体化や連携が今後も続き、さらに広まっていくことを願いますし、これも2020大会のレガシーの一つだと思います。

パラスポーツを観に行こう!~11月開催の主な大会・イベント」(ノーボーダー/2019年10月28日付)

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<2019年9月度>
■寄稿:
⇒⇒【パラスポーツ】パラスポーツを観に行こう!~9月開催の主な大会・イベント」(ノーボーダー/2019年9月2日付)

⇒【車いすラグビー】車いすラグビー日本代表 頂点目指す熱き戦い(毎日新聞/2019年9月9日付)

⇒【カヌー】東京パラ内定の瀬立モニカがV~パラカヌー日本スプリント選手権(ノーボーダー/2019年9月9日付)

⇒【ボランティア】「TEAM NO-SIDE」で、一生に一度の経験を創ろう(日本スポーツボランティアネットワーク/2019年9月15日付)

⇒【パラスポーツ】9月のパラスポーツを、プレーバック! (ノーボーダー/2019年9月30日付)

⇒【パラスポーツ】パラスポーツを観に行こう!~10月開催の主な大会・イベント情報(ノーボーダー/2019年9月30日付)


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■雑誌連載:『手をつなぐ:みんなで応援しよう!東京2020パラリンピック』~P48「file.2 応援を力に、世界へジャンプ!」(全国手をつなぐ育成会連合会/2019年9月1日発行)


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■雑誌寄稿:
『Glitters Vol.3』~P4:車いすバスケ/P24:トライアスロン/P41:陸上(つなひろワールド/2019年9 月15日発行)




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■講演:
⇒『東京2020パラリンピックを楽しもう!/伴走者と走るブラインドマラソン』(東京中小企業家同友会/2019年9月19日)

(kh)

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