スポーツあれこれ by 星野恭子

パラアスリートにとって、重要な練習拠点のひとつ、ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)。新型コロナウイルス感染拡大を受け、一時、閉館されていたが、緊急事態宣言も解除され、安全ガイドラインにそって、使用が再開された。

失ったものを数えるな。残されたものを最大限にいかせ
<5月度まとめ>

※写真上:パラアスリートにとって、重要な練習拠点のひとつ、ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)。新型コロナウイルス感染拡大を受け、一時、閉館されていたが、緊急事態宣言も解除され、安全ガイドラインにそって、使用が再開された。

「スポーツのある日常」が少しずつ戻ってきました。

5月下旬、新型コロナウイルス感染拡大防止のため出されていた緊急事態宣言が全面解除され、さまざまな活動の制限も徐々に緩和されました。スポーツ界も、感染防止のガイドラインを制定するなど、活動再開へと進みだしています。

パラスポーツからも、トレーニングや合宿が再開されたというニュースが聞こえてきています。もちろん、少人数制だったり、ソーシャルディスタンシングを保てる練習メニューに留めたり、ガイダンスに従った新たな形ではありますが、選手たちの喜びも様子なども伝わってきています。

この期間、改めて思ったのは、「パラスポーツの底力」です。活動自粛期間中、不便な思いや感染の不安もあるなか、選手や競技団体がさまざまな工夫をこらし、できうる限り、練習を継続していました。また、社会的にも広がったテレワークがパラスポーツにも広がり、オンラインでつながって戦術ミーティングを開いたり、遠隔での試合まで開かれた競技もあります。「今できること」を考え、さまざまな活動に取り組んでいました。

たとえば****

⇒【陸上】伝統のボストンマラソンで、バーチャル車いすレースが実現!(ノーボーダー/2020年4月27日付)

⇒【パワーリフティング】パラスポーツにも、“新生活様式”。パワーリフティングで、オンラインW杯開催中(東京マラソン/2020年5月18日付)

⇒【ブラインドサッカー】ブラインドサッカー協会が相談窓口。「視覚障害者の困りごと、助けます」(ノーボーダー/2020年6月1日付)

⇒【パラスポーツ】コロナ禍でも創意工夫で戦力強化。ボッチャ日本代表の挑戦(ノーボーダー/2020年6月15日付)

などなど****

苦しい状況ながら、創意工夫をこらした練習により、現状維持はもちろん、きっと、力を伸ばしている選手やチームもいる、と思うほどです。

現状を嘆くのでなく、状況を受け止め、そこから新たに生み出していく――。まさに、「失われたものを数えるな。残されたものを最大限にいかせ」のパラスポーツ精神を改めて感じる期間にもなりました。

いずれ大会も再開されていくはずです。いろいろな意味で、強くなっているであろう選手たちに会える日を、今から心待ちにしています。

==========
<2020年4月度>
■寄稿:
⇒【パラスポーツ】緊急事態宣言下の大型連休中、前を見据えるパラスポーツ界(ノーボーダー/2020年5月11日付)

⇒【パワーリフティング】パラスポーツにも、“新生活様式”。パワーリフティングで、オンラインW杯開催中(東京マラソン/2020年5月18日付)

⇒【パラスポーツ】緊急事態宣言、全面解除へ。「新たな日常」への一歩、一歩(ノーボーダー/2020年5月25日付)


==========
■雑誌連載:
『手をつなぐ:みんなで応援しよう!東京2020パラリンピック」=P48「file.10 思いがつまった、スペシャルなメダル!(全国手をつなぐ育成会連合会/2020年5月1日発行)


『月刊・石垣: パラリンピックのチカラ』=P48「File.8 パラ水泳のニュースターはスピーディーでパワフルなフォームによる推進力が武器 水泳 山口尚秀選手」(日本商工会議所/2020年5月10日)

(kh)

一覧

寄稿