スポーツあれこれ by 星野恭子

日本で初めて開かれた聴覚障害のあるアスリートの国際陸上大会、「2023ワールドゲームズ・オブ・デフアスレティックスチームズ」などの参加アスリートたち

デフリンピックが2025年、東京にやってくる!
<2023年10月まとめ>

※写真上:日本で初めて開かれた聴覚障害のあるアスリートの国際陸上大会、「2023ワールドゲームズ・オブ・デフアスレティックスチームズ」などの参加アスリートたち

デフリンピックは聴覚に障害のある選手を対象したスポーツの祭典です。1924年に創設され、夏と冬の大会がオリンピックのように4年に1度、開催されています。夏季大会100年目の記念となる2025年大会がなんと、東京で開催されることが決まっています。日本での開催はもちろん、初めてです。

今、準備が進められていて、そのテスト大会のひとつとして11月3日から5日にかけて、デフ陸上の国際大会としては国内初初開催となる「2023 World Games of Deaf Athletics Teams」が東京の大井ふ頭中央海浜公園陸上競技場 (3日/ハンマー投競技のみ)と駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場(4日、5日)に行われました。

参加したのは日本の他、13カ国(イタリア・ウクライナ・エストニア・オランダ・ケニア・スロベニア・チェコ・ドイツ・トルコ・ハンガリー・ポーランド・モーリシャス・チャイニーズタイペイ)で、日本は単独チーム、他13カ国は3チームに分け、「4チーム対抗戦」とし競技を実施。各種目の順位に応じて得点が与えられ、総合得点で順位を決定する方式で競いました。

3日間にわたった熱戦の結果、優勝は EDSO(European Deaf Sport Organization)、2位はチームジャパン、3位は WDA-A(World Deaf Athletics A チーム)、4位はWDA-B World Deaf Athletics B チーム)となり、1位から3位のチームにはそれぞれメダルが贈呈されました。また、個人種目での1位から3位に入った選手にもメダルが贈られました。

なお、「第20回記念日本デフ陸上競技選手権大会」と「第3回日本デフU18陸上競技選手権大会」も同時開催され、日本代表以外の選手たちも、海外選手たちのパフォーマンスを間近で観る機会にもなっていました。

■さまざまな工夫も!

聞こえない、聞こえにくい選手たちの大会なので、「音声による情報」を補完するため、会場や競技にはさまざまな工夫が施されています。例えば、会場のアナウンスは音声だけでなく、「手話」でも行われます。「日本手話」だけでなく、海外選手にも伝わるよう、「国際手話」も使われます。

文字情報スクリーン

また、文字情報も多用されていて、例えば、一般の大会やパラリンピックでも見られない「文字情報用スクリーン」がホームストレッチ際に設置され、現在進行中の競技や入賞者などの案内が表示されていました。場内アナウンスでは届かない人にも、情報がいきわたる工夫です。

競技では、例えば、スタートではピストルとともに、「光」を使ったランプ式の装置が導入され、視覚的にスタートのタイミングが分かるようになっています。

ちなみに、他の競技でも同様です。球技では審判は「笛」だけでなく「手旗」も使って選手にジャッジを伝えます。

こうしたさまざまな工夫が施され、聞こえない、聞こえにくい選手たちが公平にスポーツを楽しめる環境が作られているデフリンピックが、2025年に東京がやってきます。デフアスリートたちの活躍もぜひ、楽しみにしてください!

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<2023年10月度>
■寄稿:
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⇒【陸上競技】絶望から世界の舞台へつながる出会い:パラ陸上 井谷 俊介選手(前編)(エンゲート/2023年10月31日付)


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■ラジオ出演:
マイあさ!:海外スポーツ 『アジアパラ競技大会』(NHK第一/2023年10月31日)

(kh)

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