強さの秘密<2023年11月まとめ>
※写真上:ゴールボールの中国代表チームの強化施設として杭州市に設置されている「中国盲人門球訓練基地」。入り口の巨大なモニュメントはゴールボール専用球と3本の右手。3人で協力してプレーするゴールボールを表現している。
4年に1度、パラスポーツ競技のアジア王者を決める「アジアパラ競技大会)が10月22日から28日まで、中国・杭州市で開催されました。第4回となったら今回はパラリンピック競技を中心に22競技が実施され、アジア44の国・地域から約3,000選手が参加。一部競技では来年のパリパラリンピックへの予選大会も兼ねて行われ、熱戦が繰り広げられました。
日本は20競技に259人の代表を派遣し、金42個を含む計150個のメダルを獲得し、国別ランキングで第2位と健闘。パラリンピアンはもちろん、初代表など国際経験のまだ浅い若手や新星たちの台頭も目立ち、今後への期待も高まる結果を残しました。
とはいえ、やはり圧倒的な強さを見せたのが、開催国の中国です。金214個を含む計521個のメダルを獲得しました。2008年の北京パラリンピック以降、世界でもトップを走るパラスポーツ大国です。その強さの秘密は選手層の厚さや国の威信をかけての強化など、いろいろ要因はあるでしょう。2022年には冬のパラリンピックも開き、北京市は史上初めて夏冬両方のパラリンピックを開催した都市となったほか、さまざまな国際大会も誘致しており、国内でのパラスポーツの存在感が高まっていることも大きいと思います。
そうした背景もあり、練習環境の充実度も世界トップクラスだと思います。たとえば、上の写真は「中国盲人門球訓練基地(China Goalball Training Base)」と書かれた表示板があり、ゴールボール専用の強化施設です。観客席もある立派なコートが2面あり、先日のアジアパラ競技大会の会場にもなっていました。宿泊施設なども併設され、長期合宿も可能です。
海外チームを招いての合同合宿などもでき、日本チームも何度か利用しているそうです。「10年以上前からある」という話を耳にしましたが、もしかしたら、2008年の北京パラリンピックに向けて整備されたのかもしれません。今回、アジアパラ競技大会の取材で訪問しましたが、リニューアルされたばかりなのか、とてもきれいで充実した施設に驚きました。
この施設で、どれだけの練習を積み重ねてきたのでしょうか。アジアパラ大会のゴールボールでは中国チームは男女とも優勝しましたが、その強さの秘密はなんといっても練習の充実度なのだろうと思います。ゴールボールだけでなく、他の競技でもこうした練習環境が整備され、日々、地道な練習が繰り返されたのだろうと想像します。
東京パラリンピックでゴールボール日本女子代表が銅メダルを獲得した時、市川喬一監督(現総監督)は、「年間200日の合宿で培ったメンバーやスタッフとの信頼と絆が力になった」と話していました。スポーツには地道な練習が欠かせないし、辛い練習を重ねたからこそ、勝利の喜びはまた格別なのだと思います。
来年はパリでパラリンピックが開かれます。選手や支えるスタッフの皆さんの日々の努力を想像しながら、応援したいなと思います。
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<2023年11月度>
■寄稿:
⇒【パラスポーツ】【レポート】第2回パラ陸上教室 in 国立競技場を開催しました!(東京レガシーハーフマラソン/2023年11月6日付)
⇒【自転車】[第4回アジアパラ競技大会/パラサイクリング] 杭州アジアパラ、パラサイクリングでメダルラッシュ! 3選手で金3個を含むメダル9個を獲得!(パラスポ+!/2023年11月10日付)
⇒【アジアパラ大会】杭州アジアパラ大会、日本はメダル獲得総数2位。次回2026年は愛知・名古屋大会(ノーボーダー/2023年11月10日付)
⇒【バドミントン】パラバドミントンJapan国際で、日本代表がメダル8個獲得!(ノーボーダー/2023年11月17日付)
⇒【陸上競技】なぜ走るのか。なぜパラリンピックを目指すのか。:パラ陸上 井谷 俊介選手(中編)(エンゲート/2023年11月18日付)
⇒【パラスポーツ】パラスポーツを楽しもう! 主な大会・イベント情報~12月開催分(ノーボーダー/2023年11月24日付)
⇒【陸上競技】[第4回アジアパラ競技大会/陸上競技]義足スプリンターのライバル対決! 井谷と大島のアジア頂上決戦は「イーブン」。トンネルの先で、互いにつかんだ金・銀のメダル(パラスポ+!/2023年11月24日付)
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■講演:⇒奥深いパラスポーツの世界』(専修大学/2023年11月22日)