スポーツあれこれ by 星野恭子

5月17日から25日まで神戸市で開かれたパラ陸上の世界最高峰の大会「KOBE2024世界パラ陸上競技選手権」。大会盛り上げの一環として実施された「学校観戦プログラム」によって兵庫県内から約3万人の児童・生徒が来場し、パラアスリートたちに勇気や力を与えた。写真は、最寄駅から会場のユニバー記念競技場に向かう道を急ぐ、ある日の生徒たちの姿

未来への種まき
<2024年5月まとめ>

※写真上:5月17日から25日まで神戸市で開かれたパラ陸上の世界最高峰の大会「KOBE2024世界パラ陸上競技選手権」。大会盛り上げの一環として実施された「学校観戦プログラム」によって兵庫県内から約3万人の児童・生徒が来場し、パラアスリートたちに勇気や力を与えた。写真は、最寄駅から会場のユニバー記念競技場に向かう道を急ぐ、ある日の生徒たちの姿

百聞は一見にしかずーーパラスポーツはまさにそう。会場でリアル観戦すると、その魅力や面白さがよく理解できます。一度の観戦がきっかけで、はまってしまう人も少なくありません。

5月に神戸市で初めて開催されたパラ陸上の世界選手権では、9日間でのべ84,000人が観戦。そのうち約3万人は学校観戦プログラムで訪れた兵庫県内の小・中・高・特別支援学校の児童・生徒さんたちでした。

選手たちのパフォーマンス一つひとつに歓声を上げ、手拍子をとり、ときには「あ~」とため息を吐く。そのダイレクトな反応が選手たちを勇気づけ、喜ばせました。インタビューした選手たちの多くから、感謝の言葉を聞かれました。

⇒【陸上競技】世界パラ陸上、9日間の熱戦に幕。神戸から、舞台はパリへ!子どもたちも大貢献!(ノーボーダー/2024年5月31日付)

とくに印象的なエピソードがあります。T11(全盲)クラスの男子円盤投げを制したイタリア人選手は、子どもたちの応援にいたく感激し、試合後になんと、スタンドの壁をよじ登って観客席に近寄り、子どもたちに直接、「アリガト~!」と伝えたのです。全盲の彼にとって、「声」や「音」の応援は何よりも心強く、胸に響いたに違いありません。インタビューゾーンにやってきた彼は「子どもたちは素晴らしい。すごくハッピーだった!」とまだ興奮さめやらぬ様子。報道陣を前に、手で体をたたくボディドラムで喜びのダンスまで披露してくれました。

逆に、観戦した児童・生徒さんたちの心にも、きっと刺さるものがあったはずです。世界各地から集まったパラアスリートたちは肌の色も、話す言葉も、それぞれの障害もさまざま。ダンバーシティとか、インクルージョンとか、最近よく語られるそんな専門用語の世界を、目の当たりにできる場でした。

そんな選手たちが懸命にゴールを、記録を目指してパフォーマンスする姿に触れた経験は子どもたちにとってまちがいなく非日常だったはず。それだけに斬新で、鮮烈で、驚嘆で、大きな「跡」として残ったと思うのです。残っていてほしいなと思うのです。

どんな「跡」かは人それぞれでしょう。でも、何らかの種となって、いつか開く花がどんな色なのか、形なのか、あるいはどんな実を結ぶのか…。今は分からないけれど、「いつか」を楽しみに待ちたいと思います。

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<2024年5月度>
■寄稿:
⇒【パラスポーツ】パラスポーツを楽しもう! 主な大会・イベント情報~5月開催分(ノーボーダー/2024年5月3日付)

⇒【ボッチャ/水泳】パリパラに弾み! ボッチャと水泳で、日本代表内定選手たちが活躍!(ノーボーダー/2024年5月10日付)

⇒【陸上競技】神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会 5/17、神戸でパラ陸上世界選手権開幕! 東アジアで初開催、パラ陸上の魅力を体感する9日間!(パラスポ+!/2024年5月16日付)

⇒【陸上競技】速報! パラ陸上の世界選手権、5/17に神戸で開幕! (ノーボーダー/2024年5月17日付)

⇒【パラスポーツ】パラスポーツを楽しもう! 主な大会・イベント情報~6月開催分(ノーボーダー/2024年5月24日付)

⇒【陸上競技】世界パラ陸上、9日間の熱戦に幕。神戸から、舞台はパリへ!子どもたちも大貢献!(ノーボーダー/2024年5月31日付)

⇒【マラソン】第34回かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン2024 堀越信司が快走、道下美里も目標クリアでパリに一歩前進。パラリンピック代表への最終選考レースで手ごたえ(パラスポ+!/2024年5月31日付)

⇒【トライアスロン】世界トライアスロンパラシリーズ2024横浜 パリパラ出場のランキングポイント獲得にしのぎを削る! トライアスロン日本代表候補、それぞれの現在地(パラスポ+!/2024年5月31日付)


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■特別寄稿:神戸202世界パラ陸上競技選手権大会:デイリーニュース
(神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会組織委員会/2024年5月17~26日 全10号発行)

大会オフィシャルメディアチームの一員として参加。デイリーニュースは記事執筆をライター2名で、写真撮影をフォトグラファー3名で分担し、全10号を発行しました。アーカイブで日・英それぞれ10号分をお読みいただけます


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■オンラインイベントMC: デフスポーツ国際大会で戦う日本代表を応援しよう!
(日本財団ボランティアセンター主催/2024年5月29日開催)

日本最大級のボランティアプラットフォーム「ぼ活!」の会員を対象としたオンラインイベント。デフバレーボール日本代表選手からデフスポーツの魅力を聞くとともに、デフバレーボール世界選手権大会(6/21~30に沖縄県で開催)を仲間と一緒に大会を盛り上げるためにぼ活!ボランティアができることを考え、交流する企画。

(kh)

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