「平和の祭典」の意味を考えつづけた10日間
<2022年2月まとめ>
※写真上:北京2022大会のクローズドループ内に設置されていた、北京パラリンピックのロゴマークのディスプレイ。ちょうど裏側の位置には、オリンピックバージョンも
3月4日から13日まで開催された第13回冬季パラリンピック北京大会を取材しました。コロナ禍で行われる2回目の大会で、クローズドループと呼ばれる厳しい感染症対策のなかでしたが、その何倍も大きな影を落としていたのが、ロシアによるウクライナ侵攻でした。
その影響は大きく、ROC(ロシアパラリンピック委員会)と同盟国ベラルーシの選手が北京大会に出場できなくなり、開幕直前に帰国することになりました。
ウクライナ選手団は陸路で移動し、北京に到着。開会式では厳しい表情ながら、毅然とした態度で入場し、会場は温かい拍手で迎えました。
その後の、国際パラリンピック委員会のアンドリュー・パーソンズ会長の開会式挨拶は、「平和」を強く訴え、心揺さぶる内容でした。締めくくる最後の一言「ピース」の叫びを、皆さんはどのように受け止めたでしょうか。
▼北京パラリンピック開会式でのアンドリュー・パーソンズIPC会長の挨拶全文(英文)
IPC President Andrew Parsons' Beijing 2022 Opening Ceremony speech競技がスタートすると、ウクライナ選手団は驚異的な強さを見せました。母国の危機を力に変え、金11個、銀10個、銅8個の計29個のメダルを獲得し、メダル総数ランキングで46チーム中2位に入る大健闘でした。
とはいえ、インタビューエリアで聞こえてきた、悲痛な叫びが今も胸に刺さっています。
「この金メダルは自分のためでなく、母国のためだ」
「皆さんの力で、戦争を止めてください」
大会最終日の13日、閉会式で再び、パーソンズ会長はこう呼びかけます。
「選手たちは懸命に、だが、フェアに戦った。世界のリーダーは、パラリンピアンを見習ってほしい」
直接「戦争」という言葉は使わずとも「アンフェア」に軍事侵攻を進めるロシアを意識した内容にも感じます。
▼北京パラリンピック閉会式でのアンドリュー・パーソンズIPC会長の挨拶全文(英文)
IPC President Andrew Parsons' Beijing 2022 Closing Ceremony speechいろいろなことを考えさせられた、そして、これからも伝えつづけなければと気持ちを新たにした10日間でした。
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<2022年2月度>
■寄稿:
⇒【アルペンスキー】北京パラリンピック前、最後の実戦。菅平高原でアルペンスキー大会(ノーボーダー/2022年2月7日付)
⇒【アルペンスキー】北京への手応え! 2022ジャパンパラ アルペンスキー競技大会レポート(パラスポ+/2022年2月11日付)
⇒【パワーリフティング・ゴールボール・ブラインドサッカー】「魅せる」工夫で、知って親しまれるパラスポーツへ!(ノーボーダー/2022年2月14日付)
⇒【パラリンピック】北京冬季パラ開幕までカウントダウン。日本代表選手たちが意気込み!(ノーボーダー/2022年2月21日付)
⇒【パラリンピック】「ついに、私たちの出番」――北京冬季パラリンピック、まもなく開幕(ノーボーダー/2021年2月28日付)
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■雑誌連載:⇒
『月刊・石垣 2月号: パラリンピックのチカラ』=P26「File.29 強い覚悟と不屈の精神で切り拓いてきた道。二刀流を結実させ、雪原で輝く! バイアスロン 佐藤圭一選手」(日本商工会議所/2022年2月10日発行)
「パラリンピックのチカラ」
連載バックナンバー
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■講演:⇒トークイベント「100倍楽しむ! 北京冬季パラリンピック~メダリストとチェアスキー開発者が語る魅力と見どころ~」(日本財団ボランティアサポートセンター/2022年2月28日開催)