スポーツあれこれ by 星野恭子

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ただ前を見据えて
<2024年1月まとめ>

※写真上:イメージ写真

今年8月28日に開幕するパリパラリンピックまで、2月9日で「あと200日」をマークしました。出場権獲得の戦いも佳境へと入っていきます。

そんななか、東京パラリンピック銀メダリストの車いすバスケットボール男子日本代表が残念ながら、出場権を逃しました。1月に開催され、優勝すればパリ出場権が得られるアジアオセアニア選手権(AOC)で、準決勝のイラン戦で敗退してしまったからです。

敗因はさまざま考えられますが、強いていくつか挙げてみると、例えば、東京パラ後にベテラン選手数名が代表を引退し新チームが始動しましたが、東京パラ延期の影響からパリ大会までの期間が短くなり、チームとしての成熟期間も短かったこと。

また、東京パラ以降も続いていたコロナ禍によって対外試合が少なかったことも大きかったでしょう。世界を知る貴重な機会となるはずだったのが2023年の世界選手権ですが、その予選を兼ねた2022年のAOCに出場した日本はチーム内にコロナ陽性者が複数出たことで途中棄権を余儀なくされ、世界選手権には出場できませんでした。

若手主体で挑んだ2022年のU23世界選手権と2023年のアジアパラ競技大会では日本男子は金メダルに輝いたのですが、やはりパリに直接つながる大会とはライバルの陣容も試合の強度も違っていたはずです。

さらに、車いすバスケは出場国数が東京の12からパリは8に減り狭き門になったことに加え、日本は東京パラに開催国枠で出場できましたが、パリは「負けたら終わり」の予選大会を勝ち抜かねばならず、多くの若手選手にとっては「初の試練」であり、プレッシャーも大きかったに違いありません。

東京パラの大会MVPで日本の若きエース、鳥海連志選手は、「2022年のAOCや世界選手権をちゃんと踏めれば、チームの色は変わっていたと思うし、成熟には必要なプロセスだった」と話し、古澤拓也選手は、「準備してきたことや自分たちがやるべきことはやったが、最後に力が足りなかった。足りなかったというよりも、発揮できなかったのかなとも思う」と振り返りました。

ただ、過去を悔やんでも、たらればを語っても仕方ありません。選手はすでに前を向いています!

赤石竜我選手は、「パリへの道が途絶えたときに、(ベテラン選手たちは)苦しい姿はあえて見せず、チームが前向きになれる言葉や姿勢を見せてくださった。しっかり見習わなければいけないと思ったし、もっとバスケの実力をつけ、プレーで影響を与えられるような選手にならないといけない。これから、そこを見つめ直したい」と力を込めました。

村上直広選手も、「もっとフィジカル面で当たり負けしないとか、荒いプレーをされても、それを跳ね返すくらいのことをできないといけない。簡単なシュートを落とさないとか、チームに流れがほしいときに得点を取れる選手になれるように、得点力をもっと上げていけるように、これからの4年は頑張りたい」と意気込みを語りました。

今回の悔しさを糧に、4年後にまたワクワクさせてくれることだろうと思いますし、そこまでのプロセスもまた楽しみ、応援していきたいと思います。

(kh)

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