誰もが使うものだから、
誰もが使いやすいトイレが嬉しい!
※写真上:“暖簾(のれん)”が印象的な、JR大分駅構内の公衆トイレの入り口。「多目的トイレ」のデザインも秀逸でした。
2月初旬、別府大分毎日マラソンの取材で大分駅を利用したところ、駅構内のトイレに目が引きつけられました。入り口には大きく「男」「女」と書かれた暖簾(のれん)がかかっていて、まるで銭湯の入り口のようです。さすが、日本一の湯量を誇る別府温泉を擁し「おんせん県」を謳っているだけに、ご当地感満載です。思わずパチリしちゃいました。
さらに、いいなと思ったのは、男女のトイレを仕切るように2つの「誰でもトイレ」が左右対象に並んでいること。中を覗くとそれぞれ便器の右側に壁がある部屋と、その逆の部屋でした。これけっこう重要で、車いすの方や体の片側に麻痺がある人などにとって左右どちらか便器に移りやすい側があったりします。2部屋が用意され、自分に合った部屋を選べるのは嬉しい配慮です。
大分県は日本におけるパラスポーツの聖地ともいえます。たとえば、「日本パラリンピックの父」と呼ばれる、故中村裕氏は大分県別府市出身の整形外科医。イギリス留学でパラリンピックの原点となったストーク・マンデビル病院で学び、パラスポーツの振興に情熱を傾けた方です。1964年の東京パラリンピックでは日本選手団団長を務め、翌年には「保護より働く機会を」と別府市に障害者の自立支援施設「太陽の家」も設立しています。
大分市内を流れる裏川にかかる橋の欄干には、「大分国際車いすマラソン」のレリーフが。競技用車いす・レーサーでなく、日常用車いすで走る姿が歴史を感じさせる
障害のある人たちの存在が身近な街だからこそ、誰もが使いやすいトイレも生まれたのかも。同じようにパラリンピックの開催も、誰にとっても優しい街づくりのきっかけになります。主催地・東京はもちろん、一部の競技が開催される千葉県や静岡県、さらには日本全体にそんな意識が広がることを願います。
■寄稿:
⇒リオ代表を逃した敗戦を受け止め、一心不乱に「自分の陸上」に向き合った熊谷が、初制覇!~日本視覚障がい男子マラソン選手権(カンパラプレス/2017年2月7日付)
⇒IPC、ロシアの18年冬季パラ予選出場要求を却下。ドーピング違反への厳格姿勢貫くる(ノーボーダー/2017年2月9日付)
⇒ 車椅子バスケットボール日本女子、4カ国対抗の親善大会で3位。「東京2020」へ、一つひとつが大きな経験(ノーボーダー/2017年2月16日)