スポーツあれこれ by 星野恭子

翌日(4月23日)の決戦に備え、絶賛準備中のフィニッシュ地点。史上最多の約40,000人のランナーが、バッキンガム宮殿を背に、“それぞれのフィニッシュ”に向かって続々とラストスパートするまで、あと30時間ほど。

約4年半ぶりのロンドンには、
2012年のレガシーがあちこちに!

※写真上:翌日(4月23日)の決戦に備え、絶賛準備中のフィニッシュ地点。史上最多の約40,000人のランナーが、バッキンガム宮殿を背に、“それぞれのフィニッシュ”に向かって続々とラストスパートするまで、あと30時間ほど。

4月は新年度ながらの慌ただしさのなか、気がつけば、もう月末。20日に海をピューっと越え、ロンドンにやってきたと思ったら、24日にはUターン。でも、23日にロンドンマラソンと同時開催された、WPA(世界パラ陸上)マラソン・ワールドカップ、思い切って取材に来てよかったです。精一杯戦ったランナーは、誰もがヒーローで、ヒロインでした。

視覚障害の部には日本から男子6選手(+10伴走者)、女子4選手(+8伴走者)が出場し、男女とも金と銅を獲得する快挙!! 詳しいリポートは下記寄稿リストからぜひ。他にもリポートに書ききれないほどそれぞれに素晴らしいチャレンジがあり、ドラマがありました。いずれお伝えできる機会があれば……。

車いすの部は男子6選手が出場し、6位が日本勢最高位と少々厳しい結果でしたが、レースはラストの直線まで10選手以上が集団を形成する、史上まれに見る大混戦。最後はイギリスのデービッド・ウィアー選手が地元の大声援を後押しに力強いラストスパートで絶対王者のマルセル・フグ(スイス)選手に1秒差で先着。大会通算7勝の偉業も達成しました。

私はプレスルームの実況テレビで観戦していたのですが、ウィアー選手がフィニッシュテープを切った瞬間、「ウォー!」の大歓声と拍手。車いすレースは往々にして接戦になることが多いのですが、誰もが手に汗握ってしまう、ほんとに見ごたえある戦いでした。

”The Heroes are Coming(ヒーローたちがやってくる)”ーーロンドンではこの夏、”もう一つの世界陸上”、2017世界パラリ陸上競技選手権も開催予定で、市内にはすでに、大会告知のポスターが掲示されていた。2012年パラリンピックのメインスタジアムを舞台に、熱戦ふたたび!

さて、ロンドンマラソンでは、記録によれば、1983年から毎年、車いすの部が行なわれています。そして、2013年には初めて、視覚障がいの部と切断障がいの部が加えられ、IPCマラソン・ワールドカップとしても開催されました。以来、世界選手権として実施された2015年を挟み、パラリンピックに次ぐ、パラアスリートのマラソンの聖地とも言える大会になっています。(大会名は2017年から、IPC管轄の競技団体名の変更によりWPAに)

これもまた、大成功に終わった2012年ロンドンパラリンピックのレガシーだろうと思います。あの大会で火がついたパラスポーツを応援し楽しむ文化を、こうして国際大会を誘致することで燃やしつづけていく……。

また、ロンドンの地下鉄はあいかわらず階段も目立つのですが、逆に、「エレベーター設備などのあるバリアフリーな駅を示した路線マップ」も掲示されていたり、有名な2階建ての赤いバスの多くも車いすで乗降しやすい低床バスだったり。こうした取り組みも2012年大会が大きなきっかけですが、車いすユーザーだけでなく、大きなスーツケースの旅行者にも便利なサービス。2020年東京大会でもこんな風に、”未来に向かって誰にも優しいレガシー”が残るといいなと思います。

==================

(kh)

一覧

寄稿