スポーツあれこれ by 星野恭子

11月15日、大分市で開かれた「大分車いすマラソン2020」より。手ごわい上り坂に挑む選手を、脚をついて優しく見守る白バイ隊員

伝統の火をたやさず、未来へつなぐ
<2020年10月まとめ>

※写真上:11月15日、大分市で開かれた「大分車いすマラソン2020」より。手ごわい上り坂に挑む選手を、脚をついて優しく見守る白バイ隊員

1981年の国際障害者年を記念して創設された「大分国際車いすマラソン」は今年、40回目の節目を迎えるはずでした。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の余波で、来年に延期となりました。それでも、大分市に根づいた「車いすだけのマラソン大会」の火を消さないために、今年はエントリーを国内在住者だけに限定した独自の大会「大分車いすマラソン2020」として開催されました。

一般公開で行われる前日の開会式や関連イベントなどは中止され、当日も競技場内は無観客、沿道の観戦も自粛が要請されるなど異例な形で行われました。しかし、感染防止対策が徹底され、選手にはPCR検査も実施され、大きな混乱もなく終了しました。

大会はこれまで、国内外のトップレベルの選手たちはもちろん、マラソン初挑戦のルーキーや若手から70代、80代のベテラン選手まで幅広い選手たちが日ごろの練習の成果を発揮できる大切な大会として歴史を刻んできました。異例な形での開催は苦労も多く大きな決断だったろうと想像しますが、車いすマラソンの発展に貢献してきた大会の歴史がこうしてつながったことは未来の可能性を広げる重要な一歩だと思います。

写真は、毎年、多くの観戦者が歩道を埋める約9㎞地点の弁天大橋。登り坂は初心者や障害の重い選手にはきつく、スピードダウンしたり、途中で止まってしまう選手も少なくない難所です。観戦自粛が要請された今年の沿道の風景は例年とは少し違いますが、急坂に必死で挑む選手を、脚をついて見守る白バイ隊員の姿など温かい雰囲気は例年と変わらない「オーイタ大会」でした。

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<2020年10月度>
■寄稿:
⇒東京パラリンピック】パラ・パワーリフティングの公式戦、8カ月ぶりに無観客で開催。5つの日本新も誕生!(ノーボーダー/2020年10月5日付)

⇒【ゴールボール】イチから作り上げた関係性を力に、「ゴールボール広告塔として草の根的に貢献したい」~SMBC信託銀行様(日本ゴールボール協会/2020年10月7日付)

⇒【ブラインドサッカー】「大事なのは、歩みを止めないこと」―ブラインドサッカー全国大会、全試合無料生配信で開催中!(ノーボーダー/2020年10月12日付)

⇒【車いすカーリング】車いすカーリング日本代表、新選考方式で22年北京パラ出場に挑戦!(ノーボーダー/2020年10月19日付)

⇒【ゴールボール】「理解から広がる可能性。社会に対して優しくなれる社員のきっかけに]~JA三井リース様(日本ゴールボール協会/2020年10月21日付)

⇒【パラスポーツ】東京パラ開幕まで300日。パラスポーツの最新の動向は?(ノーボーダー/2020年10月26日付)


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■雑誌連載:

『月刊・石垣: パラリンピックのチカラ』=P51「File.13 覚悟のクラス転向で世界上位に。車いすテニス・クアードの新エース」(日本商工会議所/2020年10月10日)

⁂「パラリンピックのチカラ」
連載バックナンバー


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■講演:⇒『東京パラリンピックを楽しもう!』(東京中小企業家同友会 パラスポーツ応援プロジェクト/2020年10月14日開催)

(kh)

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